令和3年(2022年)事業再構築補助金

 補正予算の概要から令和3年度(2022年度)の事業再構築補助金の概要が明らかになってきましたので、ご案内します。

目次

1.事業再構築補助金の概要

1-1.事業再構築補助金の目的

事業再構築補助金とは長期化するコロナ禍の中で、中小企業等が新分野展開や業態転換などの事業再構築を通じて、コロナ前のビジネスモデルから転換することを促進するための補助金です。

2022年度は特に、①賃上げに取り組む事業、②コロナで大幅に悪化した業況を再生する事業、③グリーン分野への展開を行う事業を重点的に支援する枠が用意されています。

1-2.事業再構築補助金の成果目標

事業終了後3~5年で、付加価値額の年率平均3.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上の増加を求められます。
※付加価値額・・・営業利益+人件費+減価償却費

1-3.事業再構築補助金の補助対象要件

①2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前と比較して10%以上減少していること。

②事業再構築指針に沿った事業計画を認定経営革新等支援機関と策定すること。

1-4.事業再構築補助金の補助金額・補助率

申請類型 補助上限額(※1) 補助率
最低賃金枠
(最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい事業者に対する支援)
500万円、1,000万円
1,500万円(※2)
中小企業3/4
中堅企業2/3
回復・再生応援枠
(引き続き業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む事業者に対する支援)
通常枠
(事業再構築に取り組む事業者に対する支援)
中小企業2/3
中堅企業1/2
(※3)
大規模賃金引上枠
(多くの従業員を雇用しながら、継続的な賃金引上げに取り組むとともに、従業員を増やして生産性を向上させる事業者に対する支援)
1億円
グリーン成長枠
(研究開発・技術開発又は人材育成を行いながら、グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題の解決に資する取組を行う事業者に対する支援)
中小企業1億円
中堅企業1.5億円
中小企業1/2
中堅企業1/3

(※1)補助下限額は100万円 (※2)従業員規模により異なる
(※3)6,000万円超は1/2(中小のみ)、4,000万円超は1/3(中堅のみ)

1-5.事業再構築補助金の対象経費

建物費 ①事務所、生産施設、加工施設、販売施設、検査施設、共同作業所等の事業実施に不可欠な建物の建設、改修に係る費用
②建物の撤去に要する費用
③賃貸物件等の原状回復に要する費用
機械装置・システム構築費 ①機械装置、工具、器具の購入、製作、借用に要する費用
②専用ソフトウェア、情報システム等の購入、構築、借用に要する費用
③①又は②の改良、修繕、据付、運搬費用
技術導入費 事業遂行に必要な知的財産権等の導入に要する費用
専門家経費 事業遂行のために依頼した専門家に支払われる費用
運搬費 運搬料、宅配、郵便料等に要する費用
クラウドサービス利用費 クラウドサービスの利用に要する費用
外注費 必要な加工や設計(デザイン)、検査等の一部を外注する場合の費用
知的財産権等関連経費 新商品・サービスの事業化にあたり必要となる特許権等の知的財産権等の取得に要する弁理士の手続代行費用や外国特許出願のための翻訳料など知的財産権等取得に関連する費用
広告宣伝・販売促進費 新製品・サービスに係る広告の作成、媒体掲載、展示会出展、セミナー開催、市場調査、営業代行利用、マーケティングツール活用等の費用
研修費 必要な教育訓練や講座受講等に係る費用

1-6.事業再構築補助金のスケジュール

詳細はまだ発表されていませんが、令和4年(2022年)中に計4回の公募が予定されています。

補助事業の実施期間は「採択日から14か月以内」か「交付決定日から12か月以内」の短い方となります。

前年度からの主な変更点

2-1.売上高10%減少要件の緩和

売上高10%減少要件について、「2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高がコロナ以前と比較して5%以上減少していること」が撤廃になりました。そして「2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前と比較して10%以上減少していること」のみを要件とするように緩和が行われました。

 また現行では3~5年間の計画終了後に、新たな製品・サービスの売上高が総売上高の10%以上となる計画が必要でしたが、こちらも緩和され、「新たな製品・サービスによる付加価値額が総付加価値額の15%以上となる計画」でも可能となりました。

2-2.回復・再生応援枠の新設

引き続き業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む事業者を対象として「回復・再生応援枠」が新設され、最大1,500万円まで、中小企業は補助率が3/4(通常は2/3)までというように手厚い支援が用意されました。

また回復・再生応援枠については事業再構築指針の要件について「主要な設備の変更を求めない」という緩和策も追加されています。これにより既存設備を活用して新商品・サービスを生み出すような計画も要件に当てはまるため、設備投資を押さえることができます。

回復・再生応援枠の対象となる事業者

通常枠の要件に加え、以下の①または②のどちらかを満たすこと。
①2021年10月以降のいずれかの月の売上高が対2020年又は2019年同月比で30%以上減少していること。
②再生支援協議会スキーム等に則り再生計画を策定していること

2-3.グリーン成長枠の新設

グリーン分野での事業再構築を通じて高い成長を目指す事業者を対象に、補助上限額が最大1.5億円まで引き上げられ、売上高10%減少要件も免除されます。

グリーン成長枠の対象となる事業者

①事業再構築指針に沿った事業計画を認定経営革新等支援機関と策定すること。(補助額3,000万円超は金融機関も必須)
②補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均5.0%以上増加、又は従業員1人当たり付加価値額の年率平均5.0%以上増加の達成を見込む事業計画を策定すること。
③グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取組として記載があるものに該当し、2年以上の研究開発・技術開発または従業員の一定割合以上に対する人材育成をあわせて行うこと

グリーン成長戦略「実行計画」14分野とは

2-4.通常枠の補助上限額の見直し

通常枠の補助上限額が、従業員規模に応じて従来の4,000万円、6,000万円、8,000万円から、2,000万円、4,000万円、6,000万円、8,000万円に見直されます。

全体的に補助上限額が引き下げられています。従業員規模が20人以下の事業者は採択率が優遇される「最低賃金枠」や「回復・再生応援枠」での申請も検討した方が良いでしょう。

通常枠の補助上限額・補助率

従業員規模 補助金額 補助率
第5回公募まで 第6回公募から
20人以下 100~4,000万円 100~2,000万円 中小企業 2/3
(6,000万円超は1/2)
中堅企業 1/2
(4,000万円は1/3)
21~50人 100~6,000万円 100~4,000万円
51人~100人 100~8,000万円 100~6,000万円
101人以上 100~8,000万円

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